Bスポット治療
慢性上咽頭炎
「Bスポット」とは「上咽頭」という場所を意味します。左右の鼻が合流するところから、口蓋垂(のどちんこ)の奥までを上咽頭と呼びます。この場所は、呼吸をする際に最初に空気が体内に入ってくるところです。そのため、ホコリやばい菌の影響を受けやすく、炎症(赤く腫れること)をたびたび起こします。
この上咽頭が、慢性的に炎症を起こしている状態、すなわち「慢性上咽頭炎」が、さまざまな心身の不調の原因となっていると考えられています。
上咽頭の炎症による直接的な症状としては、のどの痛み・不快感や後鼻漏、鼻づまり、咳、痰がらみ、頭痛、肩こりなどがあります。
ほかにめまい、慢性疲労症候群、起立性調節障害などの自律神経症状があります。
また上咽頭の炎症によりリンパ球などの免疫担当細胞が活性化されると、これらの細胞が産生した炎症物質(サイトカイン)が血流にのって全身を駆けめぐり、遠くはなれた腎臓、関節、皮膚などに二次的な炎症をひきおこします。IgA腎症、関節炎、掌蹠膿疱症、アトピー性皮膚炎などです。
いわゆるコロナ後遺症は、さまざまな症状をきたし、ウイルス消失後も体調不良が数カ月以上残ることが明らかになっています。コロナ後遺症と慢性上咽頭炎との関連が示唆されています。
Bスポット治療(EAT)の方法
これらの慢性疾患の治療には、抗生物質、ステロイド等炎症をおさえる薬や、安定剤、抗うつ薬などが用いられますが、これらは対症療法であり、なかなか完治させることができません。これに対し、塩化亜鉛というお薬を上咽頭に塗って炎症を改善させる治療があります。これをEAT(イート、Epipharyngeal Abrasive Therapy、上咽頭擦過治療)といいます。従来はBスポット治療と呼ばれていました。
EATは、0.5%塩化亜鉛溶液をしみこませた綿棒を鼻と口から挿入し、上咽頭に擦りつける方法です。週に1~2回、合計10~15回程度を目安に治療を受けていただくのが一般的です。10~15回程度施行して状態が改善された場合、無症状であれば終了となり、状態維持のため数週間に1回程度継続治療を行う場合もあります。